企業人材の育成
日本医療研究開発機構では、医工連携に取り組む企業、支援機関等が人材育成を行えるよう、実証事業で得られた知見・教訓を一般化したケーススタディ用教材を開発しました。教材を活用した医工連携人材育成を積極的に支援していきたいと思います。
ケーススタディ用教材開発の目的
医療機器ビジネスに係る人材育成においては、これまでも法規制への対応を中心としたセミナー等が実施され、関連書籍も販売されていますが、実際に事業化の過程で直面した隘路等の具体事例が少なく、また示された事例が古いため、いま医療機器市場への新規参入を目指す企業の期待には十分に答えられていない状況です。
医工連携事業化推進事業(現:医工連携イノベーション推進事業)では、実証事業で得られた知見・教訓をまとめた医工連携による医療機器事業化ガイドブックを作成してきましたが、今回「架空企業の失敗事例」として一般化した「ケーススタディ教材」を作成し、ガイドブックと合わせて活用することで医療機器市場への新規参入を目指す企業のレベルアップを目指しています。
2017年度以降は、医療機器開発ケーススタディとしてこちらも公開(https://www.med-device.jp/repository/med-device-case-study/)されています。
ケーススタディ用教材の作成方針
教材の利用者(読み手)
- 医療機器市場へ新規参入を予定するものづくり中小企業の担当者
- 医療機器ビジネスの支援・医工連携の仲介を行う医工連携コーディネーター
教材を活用する場(教育プロバイダー)
- 医療機器市場へ新規参入を予定する企業での社内研修
- 自治体・地域支援機関等が開催する医療機器セミナー・研修
- 医療機器ビジネス講座を開講している民間研修機関・大学等
本教材の使われ方
- 医療機器ビジネスの基礎知識(法規制対応※など)は既存書籍等で学ぶことを前提とし、本教材はグループディスカッションなど議論中心の人材育成の場で使用することを想定しています。
- 講師のファシリテートの下で、受講者同士で議論を行うことで、受講者が自らが医療機器ビジネスの勘所を発見・理解できることを意図しています。
※ケーススタディ用教材中の法規制に関する記載について
ケーススタディ用教材中の法規制に関する記載内容は、ケーススタディ用教材の開発当時の法規制や関連制度に則って記載されたものであり、現在の法規制においては一部異なることもあります。最新の法規制については別途ご自身にて確認ください。
ケーススタディ用教材の内容
教材のボリューム
実証事業で得た知見・教訓を基に、医療機器市場に新規参入する架空企業の失敗事例(ケース)として教材化しています。医療機器ビジネス経験の浅い受講者を想定し、各ケースは1時間程度の講座で利用する「ショートケース」となっています(講義1時間の内訳は以下の通り)。
No. | 実施内容 | 所用時間 |
---|---|---|
1 | 講義の狙い・ケース概要説明 | 10分 |
(予備) | (受講者によるケース黙読 ※受講者がケースを予習できない場合) | (15分) |
2 | グループディスカッション1 | 20分 |
3 | グループディスカッション2 | 15分 |
4 | ケースの解説/学習ポイントの解説 | 15分 |
教材の構成
ケーススタディ用教材は、以下で構成されています。
種別 | 内容 |
---|---|
ケース | 過去の実証事業に多く見られたつまずき例(実例または実例をベースとしたもの)を2500字程度の読み物形式で記載しています。 |
ティーチングノート | 講師向けに、当該ケースのつまずき例への対策(ラーニングポイント)と受講者の議論を促進するヒント等を記載しています。 |
解説用資料 | 各講座の最後に講師が「議論のまとめ」として受講者に提示する資料です。ラーニングポイントをわかりやすく記載しています。 |
図 ケース・ティーチングノート・解説用資料 イメージ
教材の種類
教材は以下の8ケースを提供しています。
No. | 内容 | |||
---|---|---|---|---|
ケース1 | 技術ドリブンで製品化までしたが、現場のニーズに合わず売れなかった事例 | ケース | ティーチングノート | 解説用資料 |
ケース2 | 医師主導で開発を進めたが、そのニーズが一般的か検証せずに進めた事例 | ケース | ティーチングノート | 解説用資料 |
ケース3 | 自社の強みを生かすポジションの選択ができなかった事例 | ケース | ティーチングノート | 解説用資料 |
ケース4 | 薬事戦略に注力するあまり、事業全体のリスク分析が甘かった事例 | ケース | ティーチングノート | 解説用資料 |
ケース5 | プロジェクトリーダーに依存しすぎた結果、プロジェクトが頓挫した事例 | ケース | ティーチングノート | 解説用資料 |
ケース6 | オーナー社長中心に進めていたが、パートナー企業との連携で頓挫した事例 | ケース | ティーチングノート | 解説用資料 |
ケース7 | 日本国内での成功体験に基づき、海外を開拓しようとしたが上手くいかなかった事例① | ケース | ティーチングノート | 解説用資料 |
ケース8 | 日本国内での成功体験に基づき、海外を開拓しようとしたが上手くいかなかった事例② | ケース | ティーチングノート | 解説用資料 |
ケーススタディ用教材の利用条件
ケーススタディ用教材は、「日本医療研究開発機構の医工連携事業化推進事業で開発された旨を何らかの形で表示すること」、かつ、「非営利目的で利用すること」を条件に自由に利用することができます。
なお、「非営利目的の利用」とは研修・講義での利用のうち、1回60分程度の講義の1人あたりの受講料が3,000円未満ものを指すこととします。また、大学(大学院・短大)・専修学校・高等学校・高等専門学校がカリキュラムの一環として行う場合は常に非営利目的の利用として扱います。
教材のうち「ケース」は受講者に配布可能ですが、ティーチングノート、解説用資料は受講者への配布を禁止します。また受講者以外の第三者へ教材を配布することは出来ません。
利用条件のポイント
上記の条件の主要なポイントを整理すると以下のとおりです。
- 条件1:日本医療研究開発機構の医工連携事業化推進事業で開発された旨を何らかの形で表示すること
- 条件2:非営利目的の利用(1回60分程度の講義の1人あたりの受講料が3,000円未満もの)であること
- 条件3:「ケース」以外の教材を受講者に配布しないこと。教材を受講者以外の第三者に配布しないこと
引用は自由に行うことができます
教材の一部のページや図表を、出典(日本医療研究開発機構「医工連携事業化推進事業ケーススタディ用教材」)を明記した上で引用して利用する場合には上記の限りでは無く、自由に利用することができます。
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